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総合技術研究WGレポート

SE構法の技術を活用した「木質耐震シェルター70K」施工レポート

2020年2月26日
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2019年9月に発表した「木質耐震シェルター70K」。本製品は、一般社団法人耐震住宅100%委員会の委託により株式会社エヌ・シー・エヌが共同開発したもので、SE構法の技術をベースとする、部屋単位での設置が可能な耐震シェルターです。2019年12月、お施主様宅の耐震リフォームを手掛け、「木質耐震シェルター70K」の設置工事を行った栃井建設工業の渡邊社長にお話しを伺いました。

「木質耐震シェルター70K」初めての設置事例

 今回、耐震シェルターが導入されたのは、耐震住宅100%実行委員会の会員企業である栃井建設工業様によるもので、岐阜県の築年数約70年の木造住宅のリフォームの一環として行われたものです。半日かけて組立施工を終えた、同社の渡渡邊浩代表取締役は、その印象を「お客様の生命を確実に守る、SE構法の技術がしっかり活かされたシェルターですね」と語ってくれました。


 渡邉氏とお施主様の出会いは、20数年前に遡るそうです。その当時、初めての大規模なスケルトン・リフォームを任され、以降も水周りや設備の改修等、折りに触れてお付き合いが続いてきた間柄、今回は耐震を主眼に置いたリフォームの相談を受けたとのことでした。

「もちろん、家全体を耐震化するという方法もありますが、それだとコストも高くなりますし、家全体の自重も重くなります。いざ大きな地震に見舞われたとき果たしてその家を支え切れるのか? それよりも、確実に生命を守る場所を家のなかにつくることのほうが、お客様の利に適うのではないかと考えたのです」。

愛着のある家を傷めない、家の内側からの耐震化

 そんな渡邊氏の提案を受けて、ご家族内で相談したお客様は、普段の生活のなかでもっとも利用する機会の多い居間の耐震化、また、同時に和室を洋間にリフォームすることにしたそうです。


「部屋の耐震化について、当初は耐力壁を設えることを考えていたのですが、それだと、例えば壁や建具を外して作り替える必要があり、せっかく長く使いこなしてきた家の良さが損なわれることが気掛かりでした。良い家だし、もったいないなと感じていたのですが、そんなときにこのシェルターの存在を知って、これだ! と思ったんですね」。


「木質耐震シェルター70K」の特長のひとつは、その設置方法にもあります。この木造のシェルターは、部屋の内側に構造体を組み入れるため、長く住み続けてきた家を傷めることもなく、また、愛着のある建具を壊す必要もありません。その人の暮らしに馴染んだその家の良さを、そのまま残しながら耐震化できることは、お客様にとっても嬉しいことだったそうです。


「家のその良さを活かしながら、耐震という点で必要充分な機能も手に入れることができるのは、やはり、このシェルターがSE構法の技術でつくられていることが大きいと思いますね。リフォームとは言え、その品質は新築となんら変わるものではありません。弊社は、SE技術管理者の有資格者も多数いますので、設置施工も非常に段取り良く進めることができました」。

 渡邊氏は、そんな風に、この木質耐震シェルター70Kの最初の設置事例を語ってくれました。そしてそれは、SE構法の確かな技術への手応えでもあったようです。


施工:栃井建設工業 http://totii.co.jp