一般社団法人耐震住宅100%実行委員会は地域コミュニティ耐震化キャンペーンの第4 弾として、静岡市清水区・草薙西地区自治会館別館に「木質耐震シェルター70K」を寄贈しました。今回は新たに採用された岡山県産ヒノキの集成材を用いています。
地域を元気にする活動拠点を地震から命を守れる建物に
JR東海道本線の草薙駅(静岡市清水区)周辺は若者の姿が目立ちます。理由はこの地域に静岡県立大学草薙キャンパス、静岡サレジオ小・中・高等学校、静岡県立美術館、静岡県中央図書館などの文化教育施設が集まっているからです。さらに、三種の神器のひとつとして知られる「草薙剣」の名の由来とされる草薙神社があり、七五三や初詣などの季節行事の際には多くの参拝客が訪れます。
草薙のそうした活気ある雰囲気を支えているのは、商店会と自治会が中心になって設立したまちづくり組織「一般社団法人草薙カルテッド」です。JR草薙駅の改修を契機に2013年から活動を始め(2017年に法人化)、2018年にはUDC草薙としての活動も開始、産学官民の 連携で活動実績を積み上げてきています。
共同代表をつとめる花崎年員さんは「包括支援のことでも、大学生にアイディアを募りたい人の相談でも、地域の人の相談はなんでも受けます」と間口の広さを誇ります。ちなみに「カルテッド(cul+ed)」はカルチャー(culture)とエデュケーション(education)からの造語。花崎さんは草薙西自治会長を兼ね、自治会でも老若男女、在住年数などの分け隔てなく、誰もが地域で楽しく過ごせるよう、子ども食堂の開設やイベント開催等で交流促進を図ってきました。
今回、一般社団法人耐震住宅100%実行委員会が地域コミュニティ耐震化キャンペーンの第4弾として「木質耐震シェルター70」を寄贈したのは、その活動拠点のひとつである草薙西自治会館別館です。
木造平屋で、花崎さんによると「40~50年前、区画整理で所有者不明のまま行政代執行で移されてきた」という。内部には二間続きの和室と簡単なキッチンがあり、玄関側の和室には薬師如来像が鎮座する、いささか不思議な間取りは、この建物が何十年も前に廃寺になった寺に由来するためとのこと。行政は、移築はしたものの所有者不明であったため手をつけられず、代わりに自治会が所有権を持つ人がいないことを明らかにし、裁判所に申請して、この土地と建物の権利を得ました。しかし自治会には建物の建て替え資金はなく、最低限の補修と白アリ駆除を行っただけで使い始めました。