総合技術研究WG

総合技術研究WGレポート

⼭⼝の地で、耐震普及啓発への熱い想いを、耐震100の理念とともに広げていくために

2025年4月30日
総合技術研究WG
 耐震への想いを語る、MEIKEN特建事業部部⻑の⾦⼦さんと、同事業部リノベ営業部課⻑の⽣⽥さん

⼭⼝県に拠点を構える地域密着型の⼯務店・MEIKEN(株式会社銘建)は、45年以上にわたり、およそ1,500棟の家づくりに携わってきました。「オーナーズクラブ」の運営に象徴されるように、建てた後の関係性を⼤切にし、地域とともに暮らしを育てる姿勢を貫いています。

そんなMEIKENが、2025年2⽉に開催したイベント「住まいと暮らしの博覧会」で、初めて⽊質耐震シェルター70Kを展⽰。イベント終了後は、県道沿いのショールームへと移設され、現在は常設展⽰として訪れる⼈々を迎えています。

災害リスクの少ない地域だからこそ、⾒過ごされがちな「わが家の耐震」。それを⽣活の視点から⾒つめ直してもらうきっかけとして、MEIKENはこのシェルターにどんな願いを託したのか──。その想いをうかがいました。

OB向けイベントで、⼤々的にお披露⽬

「住まいと暮らしの博覧会」には、MEIKENで家を建てたオーナーの⽅々を中⼼に、200組を超えるお客様が集まり活況を呈しました。ワークショップやマルシェ、キッズコーナー、最新の設備紹介といった盛りだくさんのコーナーの中に、⽊質耐震シェルター70Kの⾒上げるような躯体が展⽰されました。

イベントでは、多くの⼈々が「⽊質耐震シェルター70K」のもたらす安全・安⼼に⽿を傾けた

MEIKENの特建事業部部⻑の⾦⼦さんは語ります。「集成材と⾦物の組み合わせがいかに頑丈な構造体になるか、⾃分⾃⾝の⻑いキャリアの中で熟知していましたので、⾃信を持ってお客様に耐震性のアピールをしました」。

⼀⽅、特建事業部リノベ営業部課⻑の⽣⽥さんは、「⼭⼝は⼟地⾯積が⼤きいので、⼀⼾あたりの建物⾯積が⼤きい傾向にある。⼀軒丸ごとの耐震化では施⼯単価が上がってしまいますから、お住まいのリビングや寝室に⽊質耐震シェルターを導⼊する⽅が、コストパフォーマンスに優れているというご説明をしました」と振り返ります。

下関での70K設置がきっかけで、あらためて知る耐震の⼤切さ

このようにイベントでの展⽰に踏み切ったのは、2023年、下関でのお客様の耐震シェルター設置が1つのきっかけになったと、⾦⼦さん。

「ご相談を受けたのは、築70年以上の和⾵のお宅にお住まいのご夫婦でした。ご⾃宅を拝⾒したときに、仮にこの家全体を耐震補強しても、数値の保証はできないんじゃないかと思ったんです。それなら、どれだけの規模になるかわからない南海トラフ地震を⾒据えて、普段お休みになっているお部屋を⽊質耐震シェルターで守るのはいかがですかと、ご提案しました」。

こうして完成した⽊質耐震シェルター70Kはお客様にたいへん好評で、「毎⽇、安⼼して寝ることができています」との声をいただいています。

⽊質耐震シェルター70Kの展⽰に込めたメッセージ

阪神・淡路⼤震災、東⽇本⼤震災、熊本地震。その時期になると毎年、「震災から何年」といったニュースが流れます。そのたびに、南海トラフ地震はいつ来るのか、ひるがえって我が家の耐震対策は⼤丈夫なのかと、考えさせられる⼈も多いことでしょう。⾦⼦さんは語ります。

「私⾃⾝、阪神・淡路や熊本の被災地にも⾜を運んでいて、その悲惨さは直接⾒知っています。この⽇本においては、⼤切な家族を守るために、いかに建物が頑丈でなければならないかということを、震災の歴史の中で感じてきました。ただし⼭⼝県は⾮常に恵まれていて、これまで地震災害、台⾵災害がほとんどないんですね。だから、気になってはいても、どこか⾃分ごとではない⼈も多いのではないか。そんななかでこのシェルターは、耐震への思いを改めて意識するのに絶好のものだと感じたんです。

そこで、MEIKENから耐震住宅100%実⾏委員会にお願いをして、このエリアへの普及啓発のためにということで、寄贈をしていただいた次第です」。

耐震住宅100%実⾏委員会と、ご⾃⾝の理念との間に共通するものを感じた⾦⼦さんですが、それだけに注⽂もあると⾔います。

「この⽇本には、まだまだ耐震化がされていない住宅も多い。けれども建物全体を耐震リフォームするとなれば、ものすごいお⾦がかかるじゃないですか。そういったときにこのシェルターがあれば、耐震を諦めず、⾃分たちや⼦どもたちの、命だけは守れる。『耐震100%』という⾔葉がめざす通り、この事実についてもっともっと発信⼒を⾼めて欲しいし、わかりやすく解説するツールもつくってもらいたいと思っています」。

⼭⼝スタジオに設置された「⽊質耐震シェルター70K」は、訪れる⼈に耐震の必要性を訴えかける

ショールームへ移築し、いよいよ普及啓発活動を開始

MEIKENでは、イベントへの展⽰のみならず、その後のショールームへの移築・常設展⽰もあらかじめ⾒据えていました。現物があるというメリットをいかに有効活⽤していくか、いかに不特定多数の⼈々に⾒てもらうかが、重要であると考えていたからです。

⽊質耐震シェルター70Kは現在、⼭⼝市内にほど近い県道沿いにある、MEIKENの事務所兼ショールーム「⼭⼝スタジオ」に常設展⽰。予約制の説明会も開催されています。

「住宅展⽰場は『夢の空間』だから、みなさん、なかなか⼿が届かないものだとお思いになります。しかし、⽊質耐震シェルターは⾃分の家の中につくるもの。ですからこうしてショールームの中に実際につくることで、⽬で⾒て、触れられる、『⼿が届く空間』であるということをかたちにしたわけです(⾦⼦さん)」。 

MEIKENではショールームへの常設展⽰に加えて、さまざまな広報の仕掛けも考えています。

例えば、地元の新聞『ほうふ⽇報』の⼒を借りた、⼀般への周知。「⼭⼝県内で初めて耐震シェルターをショールーム内に作った」という事実を、ニュースとして発信しました。記者による客観的な記事、カメラマンによる写真、記事中へのシェルターの所在地や、問い合わせ先の記載。これらによるPR効果を期待してのことです。

また、「よいものは広く分かち合いたい」との精神から、⼭⼝の建設設計⼠会の名簿に対してもDMを送付し、「⽊質耐震シェルター70Kを⾒に、ぜひショールームまで来てください」というメッセージを、地元の⼯務店向に対しても発信する予定です。

地域へ根ざす⼿段として、新しい事業の芽として

⻑い歴史の中で1,500軒もの家々を建ててきたMEIKENには、改築やリフォームの相談が随時舞い込んできます。そのなかには耐震に興味をお持ちのお客様もいらっしゃるため、今後は⽊質耐震シェルター70Kという選択肢を積極的にご提案できればと、⽣⽥さんは意気込みます。

「それからもちろん、⼭⼝県内の⼀般の潜在客の皆様に向けても、チラシやフリーペーパーなどといったかたちなどで、周知徹底を図っていく予定です(⽣⽥さん)」。

建築業界ではこれから、新築もさることながら、リフォーム、特に断熱改修と耐震改修に伸び代があると、MEIKENでは考えています。そういった背景のなか、⽊質耐震シェルター70Kによる、既存の住宅を活かした部屋単位での耐震改修は増えていくのではないかというのが⽣⽥さんの⾒⽴てです。

「⽊質耐震シェルター70Kが普及していけば、お客様の住宅はその⼟地にしっかりと存続できて、私たちMEIKENも地元に存続できる。お互いに地域につながっていける。そんな将来が考えられるのではないでしょうか」。

耐震住宅100%実⾏委員会が寄贈した、1つの⽊質耐震シェルター。それは、⼭⼝の⼈々に耐震の理念を伝え、広げていく、普及啓発の⼀起点となってゆくことでしょう。

株式会社銘建 
〒747-0044 山口県防府市佐波1-9-5
https://meiken.jp